タマダでございます。いきなりですが、私が良く使う工具はラジオペンチとプラス・マイナスドライバーとハンマーです。そして、意外と奥が深いシリーズ記念すべき10回目の主役はハンマーになります。
※画像は(STAHLWILLE 10790)
木槌、金鎚、ハンマー、トンカチ、呼び方アレコレ
日曜大工や木工作業などでよく用いられる木槌や金鎚、ハンマー。おおづち、こづち、とんかち、げんのう、なぐり、かけや、という多様な呼び名が示すように、形状や素材、用途に応じた専用の工具が存在しています。
一般的には、ハンマーとは釘やノミ、物を打ち付けたり、潰すための打撃部分と柄で構成されているモノ。かなづちは打撃部分が金属製のモノ。トンカチは「トントンッ、カチカチッ!」という擬音から、といわれています。げんのうは打撃部分の一方が平たく、一方が凸状になったモノ。
ちなみに、げんのうは玄翁と書き、釘の打ち終わりに木材に跡が残らないよう片側がわずかに凸状にされているのですね。日本人ならではの配慮を感じます。
また、なぐりとはお芝居における呼び方で、柄部が大工用品に比べて長く、一方が釘抜きになっているのが特徴。
そしてかけやは掛矢で、杭打ち用などの大きなハンマーのことだとか。推察するに、一人で作業するには大きく重く、複数で使用する際に縄をかけて作業する様子が弓矢を連想させたことから付いた名称なのかなと。
それはさておき、ハンマー。実はそのハンマーという呼び方も総称でしかなく、用途別に正式名称が与えられているのです。先切金鎚、クローハンマー(ネイルハンマー、釘抜きハンマー)、ポールピンハンマー、スレッジハンマー、プラスティックハンマー(樹脂ハンマー)、ゴムハンマー、テストハンマー。
先切金鎚(方口ハンマー)は俗にハンマーといわれたら想像するカタチをしていて、片側が平たく、もう片側が尖っています。
クローハンマーは片側が釘抜きになっているタイプで、こちらもポピュラーですよね。ボールピンは名の通り、片側が球状で金属加工などに用いられます。一般的にはあまり馴染みがないかも知れません。
スレッジ(=そり)は解体現場やコンクリブロックをぶっ潰すための大型で、プラスティックハンマー(=プラハン)は変形やキズを入れたくない金属材や木材への打ち込み用として。ゴムハンマーも同じようなニュアンスの工具といえるでしょう。ともに、重量がそこそこ確保されているので打撃力が確保されているのが特長。
最後のテストハンマーは機械の部品やコンクリートなどを叩き、音を聞き分けて緩みや劣化がないかを調べるときに用います。
標準的なサイズと釘打ちのコツ
ところでみなさん、釘って上手く打てますか?
タマダは苦手でスグに釘を曲げていました(恥)。当時の手持ちハンマーは小さな金属とプラのコンビ仕様のモノでしたが、カマボコの板を2枚打ち付けるのすら釘を曲げたりナナメに入ったり、はては板を割ってしまったり。大人になってからは簡単な収納棚なども作ってみましたが、今度は件のコンビハンマーが小さすぎて、何度も何度も叩いて疲れるハメに。とにかくトンカチ、ハンマーを使いこなせた記憶がありません。
そこで余談ついでに「正しいハンマーの選び方と釘打ちの要領」を調べてみました。
すると、DIY派でなくとも一家に最低2本はサイズの異なるハンマーを持つべきことと、錐(きり)や接着剤を積極的に用いれば釘打ちは楽なのだ、という衝撃の事実を知りました。聞けば、ハンマーの総重量はもちろん打撃部=アタマの重さが使い勝手を左右する模様。アタマが重いと確かに上げ下げするだけで疲れますもんね。ハンマー類のサイズは、基本的に重さで表示されていて、日本古来の単位=匁(もんめ)をグラムに換算した数値がそのままサイズになるそうです。ゲンノウの標準的なサイズは100匁=375グラム、鉄工用ハンマーは120匁=450グラムが事実上の標準。ちなみに450グラムは=1ポンドなので、このサイズのものを1ポンドハンマーというそうです。
とはいえ、いくら標準といっても腕力は人それぞれ、実際に握ってみて重たいようなら軽いものを、狙った場所に正確に打ち込むことを求めるならば重心位置を気にしてみるだとか、自分に見合うハンマーを見つけてみましょう。つまり、幅広い用途に向けてげんのう(いざ!系)、あったら便利な先切金鎚かクローハンマー(万能系)、打撃痕が気になるならばゴムハンマー、これら3種から選ぶとOK。
釘の代わりにコーススレッドを電動ドリルで締め込むことが多い今現在ならば、バランスがよく釘抜きとしても使えるクローハンマー(とくにネイルハンマー)だけでも工具箱に入れておきたいところですね。
そして、肝心の釘打ちについて。これはまず慎重にコツコツと打って釘を対象物に突き立てること。ある程度グラつかなくなったら、初めて振り下ろします。釘がかろうじて刺さっている程度だと、打ち込み角度次第で簡単に曲がってしまうそうです。何事も焦ってはいけないという戒めですね。
さて、ある程度ズブリと釘が刺さって動かなくなったら、徐々に振り上げるストローク量を増しましょう。コツは手首ぶらぶらで支点は肘、を意識するとのおハナシ。ハンマーの重みに自然と振られてしまう、くらいの感覚でしょうか。なお、釘打ちの際に金づちで手を叩きそうで怖い、と思う人は、先端が細いラジオペンチなどで釘を支えれば怖くないうえに、作業じたいも捗りますよ。
あとは下処理ですね。手慣れた方ならいきなり釘を打ち込んでも問題ないのでしょうが、タマダはじめ釘打ちが苦手な人は、失敗しないため、あとあと面倒なことにならないため、下処理という手順を踏むのが無難といえるでしょう。例えば材料の割れを防ぎたいならば錐(きり)で下穴を開ける、他には手持ちの釘が細過ぎる・短過ぎるならば各種接着剤を積極的に活用するのも良いでしょう。意外とそれら下処理を施した方が仕上がりがよほど美しかったりします。
それでも釘を曲げてしまったら、曲がった側から叩いて釘を見た目だけでも真っ直ぐに修正しましょう。曲がったまま強引に打ち込んでしまうのも手ですが、その場合は強度や接合力が落ちてしまいますのでご留意あれ。
柄を握って先端の打撃部分を振り下ろすことで、木材を叩いたり、金属を変形させたり、釘を打ち込んだりできるハンマー。打撃部分が木製のモノは槌(き偏)、金属製のモノは鎚(かね偏)と明確に区別されています。使い勝手の良いシンプルな工具だけに誰もが一度は手にした経験をお持ちなのではないでしょうか。
また、打撃時の反動を緩和してくれるショックレスハンマーや、ゴムとプラスティック2種類の打撃部をもつコンビネーションハンマーなどの新機軸モデル、打撃部に使用する鋼の種類も含めれば、打つ・撃つという単純な行為にすら奥深さを感じずにはいられません。
エヒメマシンがオススメするハンマー
ご家庭で使用されることを大前提におハナシを進めますと、やはり汎用性の高いアイテムを選ぶのがベター。そこで、当社がオススメするハンマーをご紹介いたします。
メジャーリーガーの大谷選手ばりの二刀流で行くならば、タマダ的にはクロー(ネイル)ハンマーとゴムハンマーの組み合わせが絶妙と思われます。ネイルハンマーで簡単な釘打ち・釘抜き(釘以外でも何かを引っこ抜きたいときに重宝)をまかない、ゴムハンマーでせっかくの白木や化粧板を傷つけないように組み付けたり分解したり。
先程も書いた通り、最近は電動ドリルが主流となりつつありますから、大きなモノよりも使い勝手重視の全長200〜300mm、重量400g程度のネイルハンマー、木組み作業やタイルや床板などが貼りやすい標準的な50〜60mmのヘッド径と程良い重量感をもつ450g程度のゴムハンマーですね。
また、「キャンプによく出掛ける、キャンプに興味がある」という向きにはペグハンマーなるモノがありまして......長くなるためそのハナシは、またの機会に。
ではご紹介を。
◯TRUSCO 釘抜きハンマー
頭部は完全焼き入れ処理(硬度45-55度)、柄は樫よりも軽くて丈夫で弾力性のあるヒッコリーを使用しています。
サイズは3種類(商品ページはこちら)
◯TONE ブラックシャフトハンマー
釘打ち、釘抜きに使用できる、軽量・高強度のグラスファイバー製シャフト。重量340g/全長300mm
◯TRUSCO ゴムハンマー #1 TGH-10
頭部は良質のゴムで柄は軽くて丈夫で弾力性のある椎の木を使用しています。
サイズは3種類(商品ページはこちら)
◯OH ゴムハンマー
頭径57mm、全長330mmの1ポンドハンマー。白いゴムヘッドなので、打撃時に色移りや汚れが付着しにくいのが特長。
サイズカラー共に3種と豊富です(商品ページはこちら)
DIY流行りの昨今、一般的なご家庭でもハンマーを使う機会は以前に増して多くなってきています。正しい使い方を知ってケガなくご安全に。トントンカチカチ、あれこれ組み立て。けっこう楽しいものですよ。ただし、打撃時は騒音や振動にはくれぐれもご注意を。