意外と奥が深い「モンキーレンチ」の基本

夏本番を迎えて記録的な猛暑に見舞われている日本列島ですが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。お馴染み? 新人スタッフのヤマモトです。

入社以来、工具の名称を覚えたり実際に触れたりしているうちに、ツールそのものに興味が湧いてきた今日この頃。ボルトやナットにもそれぞれ名称やサイズ・規格があるらしく、しみじみと“キカイ”の世界もまた奥深いなと実感しています。

前回は「トルクレンチ」について調べましたが、今回のテーマは「モンキーレンチ(JIS規格名称モンキレンチ)」。この工具ひとつでボルトやナットにまつわる締める・緩めるのほとんどをまかなうDIY派もいるほど、重宝な工具です。しっかりと予備知識を仕入れておけば、そんな重宝な工具をもっと便利に使いこなすことができますよ。

モンキーレンチとは?

モンキーレンチは、開口幅を調整することで様々なサイズのボルト&ナットを締める・緩めることができる工具です。諸説あるなか、モンキー(MONKEY)とは工具の頭部形状が猿の横顔に似ていることからネーミングされたという説が強く、なるほどグリップと一体化したレンチ部を上アゴ、ウォームといわれるネジ状のギアで上下する別体のレンチ部を下アゴ、と名称されているあたりに関係深さを感じますね。

tone モンキーレンチTONE ハイパーウォームモンキレンチセット 20FBMWR3020 】

モンキーレンチの特徴は?

①開口幅を自由に調整できる

手持ちのスパナではサイズが合わないボルトやナット、また平行な面が2つあるL形コネクタや四角頭付きネジを回す際に便利。アゴが開く最大幅も豊富に揃っていて、一般的には24mm、30mm、36mm,46mmの最大開口をもつモンキーレンチが広く流通しているようです。呼び寸法(=全長)はそれぞれ150mm、200mm、250mm、300mm。新人ヤマモトとしては手頃なサイズ感と万能性を踏まえて、最大開口36mm✕呼び寸法250mmひとつを個人所有したいところ。

コレ以上小さいサイズだと力が入れづらく挟めないナットも出てきます。つまり悔しい気持ちになることが多々あります。また、コレ以上大きいサイズだと重い・長い・小回りが効かず、要するにネジを回すだけでもうしんどい。日常使いプラスαの用途を考えると、最大開口36mm✕呼び寸法250mmがジャストなのではないでしょうか。

②ウォームギアの位置と精度

調整ネジは意外と重要な構成要素なので、モンキーレンチ購入時には必ずチェックしてほしいところ。上アゴと下アゴでしっかりとボルトやナットをくわえ込んだ後は、その開口幅をきちんと維持してくれないと正確に力が伝わらずにガタついたりナットの角を舐めてしまったり、ロクな結果になりません。また、ウォームギアが握り手と近い位置にあるモノは誤作動に繋がりがち。ギアが硬すぎ・緩すぎも考えものです。

工具は精度こそを最重要視するべきであり、お手入れさえ欠かさなければそれこそ一生モノといえるので、信頼できるブランドの製品を購入するのがベターだと思います。

そうして、より自分が求める要素を満たした工具を見つけ出して買い足していくのが、ツールの特性をより深く知る近道。何より、工具好きには堪えられない醍醐味となるでしょう。そう、モンキーレンチに興味・関心を抱いた時点でアナタは立派な工具好き、マニアなのです。

③持ち手(本体)の厚みや工夫

慣れるほどにぴったりな使い勝手を求め、呼び寸法が短く最大開口が広いモノ、疲れない軽いモノ、握り手に優しいグリップ形状のモノを、という要求が生まれるのは当然です。

メーカーもそんな意見を反映したモンキーレンチを発表しており、狭いスペースでも抜き差しできる薄型仕様から、小さいながらも開口が広いショートワイドタイプ、各部に肉抜きや丸み処理を施して軽量性と握り心地を両立したモデル、グリップをゴムで覆ったツールなどなど、マニア心をくすぐる創意工夫に余念はありません。

樹脂のグリップ【BAHCO パイプレンチ兼用モンキーレンチ 9073P 

また、モンキーレンチの上位互換として水道管やガス管を回す力自慢のプライヤーレンチを推す声や、自動車やバイク向けの特殊工具であるフックレンチ(引っ掛けスパナ)の機構を応用したウォームギアレスの“万能レンチ、フリーレンチ、マジックレンチ”を推す声も。

もともと万能なモンキーレンチがさらに万能になっていると知れば、工具の進化・深化のほどに驚かされます。

モンキーレンチの正しい使い方とは?

モンキーレンチのおおよそを知ったところで、実際の使い方を勉強してみましょう。

工具とは正しく用いてこそ真価を発揮するものであり、うろ覚えのまま勢いにまかせて使用すると、いたずらに時間を浪費したり何度もやり直すハメに陥ったり、何かとトラブルを招きがちなのです(経験者・新人ヤマモト談)。

まず全長は呼び寸法、グリップと一体化したレンチ部&本体を上アゴ&グリップ、ウォームといわれるネジ状のギアで上下する別体のレンチ部を下アゴ、開口幅を決定するネジ部をウォームギア、そして英語圏ではアジャスタブル(ADJUSTABLE=調整できる)レンチということは前述の通り。

また、一般名はモンキーレンチですが、JIS規格では「モンキレンチ」なんですね。スパナは先っぽが開放されているに対してレンチは閉じられている状態を日本ではいう、とは以前この読むと得するコラム「vol.03 意外と奥が深〜い レンチの基本」記事内でお伝えした通り。興味があれば、ぜひ読んでみてくださいね。

で、肝心なモンキーレンチの正しい使い方について。まず、上アゴと下アゴでしっかりとボルト&ナットの平行な2面をくわえ込む。その際、ウォームギアにぐらつきがないことを確認してください。でないと、かかりが悪くなったり浅くなったりして、結果的にボルト&ナットの角を舐めてしまう恐れがあります。

回す方向は必ず下アゴ側へ。上アゴ側に回すと下アゴがレンチ本体から離れる方へ力が働き、下アゴを痛めがち。使用法を間違えると、モンキが壊れたり滑って怪我したり、踏んだり蹴ったりの仕打ちが待っています。

ちなみに。モンキーレンチの開口(=口径)部は、狭いスペースで効率よく90°を回せるように、22.5°(23°)に設計されているものがほとんど。45°回してモンキをひっくり返してさらに45°(※上アゴ方向に回すことになるので、軽く回る場合のみ。上級者向け)の22.5°✕2✕2=最低送り角90°ですね。最近は自動車整備に特化した15°タイプのモンキを設定するメーカーも出てきました。

15°タイプ【 NEPROS モンキレンチ NWM-250  

まとめ

一般家庭ではレンチやスパナよりも使い勝手が良いといっても過言ではない工具、それがモンキーレンチ。呼び寸法とアゴの開口幅、軽量性や薄型、グリップ処理などにこだわりはじめると、泥沼にハマるのは必至といえましょう。巣ごもりにおけるストレス解消、部屋のクリーンアップ大作戦、DIYチャレンジ、自動車・バイクの整備に、モンキーレンチおひとついかがですか?

呼び寸法だとか、ウォームギアだとか、モンキーではなくモンキだとか、さり気なく工具ツウな雰囲気があるよね♪

と、一人悦に浸る新人スタッフのヤマモトでした。

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